भाषाएं

कीबोर्ड

पृष्ठ 35 / 185

लेखक: 夏目漱石

समय0:00
गति (WPM)0.0
सटीकता100.0%

स्टार्ट दबाएं और पंक्तियां सटीक टाइप करें। · बैकस्पेस अक्षम — गलती के बाद भी जारी रखें।

私は心のうちで、父と先生とを比較して見た。両方とも世間から見れば、生きているか死んでいるか分らないほど大人しい男であった。他に認め
られるという点からいえばどっちも零であった。それでいて、この将碁を差したがる父は、単なる娯楽の相手としても私には物足りなかった。か
つて遊興のために往来をした覚えのない先生は、歓楽の交際から出る親しみ以上に、いつか私の頭に影響を与えていた。ただ頭というのはあまり
に冷やか過ぎるから、私は胸といい直したい。肉のなかに先生の力が喰い込んでいるといっても、血のなかに先生の命が流れているといっても、
その時の私には少しも誇張でないように思われた。私は父が私の本当の父であり、先生はまたいうまでもなく、あかの他人であるという明白な事
実を、ことさらに眼の前に並べてみて、始めて大きな真理でも発見したかのごとくに驚いた。
私がのつそつし出すと前後して、父や母の眼にも今まで珍しかった私が段々陳腐になって来た。これは夏休みなどに国へ帰る誰でもが一様に経験
する心持だろうと思うが、当座の一週間ぐらいは下にも置かないように、ちやほや歓待されるのに、その峠を定規通り通り越すと、あとはそろそ
ろ家族の熱が冷めて来て、しまいには有っても無くっても構わないもののように粗末に取り扱われがちになるものである。私も滞在中にその峠を
通り越した。その上私は国へ帰るたびに、父にも母にも解らない変なところを東京から持って帰った。昔でいうと、儒者の家へ切支丹の臭いを持
ち込むように、私の持って帰るものは父とも母とも調和しなかった。無論私はそれを隠していた。けれども元々身に着いているものだから、出す
まいと思っても、いつかそれが父や母の眼に留まった。私はつい面白くなくなった。早く東京へ帰りたくなった。
父の病気は幸い現状維持のままで、少しも悪い方へ進む模様は見えなかった。念のためにわざわざ遠くから相当の医者を招いたりして、慎重に診
察してもらってもやはり私の知っている以外に異状は認められなかった。私は冬休みの尽きる少し前に国を立つ事にした。立つといい出すと、人
情は妙なもので、父も母も反対した。
「もう帰るのかい、まだ早いじゃないか」と母がいった。
「まだ四、五日いても間に合うんだろう」と父がいった。
私は自分の極めた出立の日を動かさなかった。

स्टार्ट दबाएं और पंक्तियां सटीक टाइप करें।

शुरू नहीं हुआ