Языки

Клавиатура

Страница 42 из 185

Автор: 夏目漱石

Время0:00
Скорость (WPM)0.0
Точность100.0%

Нажмите старт и печатайте строки точно. · Backspace отключен — продолжайте даже после ошибки.

「あなたのお父さんが亡くなられるのを、今から予想してかかるような言葉遣いをするのが気に触ったら許してくれたまえ。しかし人間は死ぬも
のだからね。どんなに達者なものでも、いつ死ぬか分らないものだからね」
先生の口気は珍しく苦々しかった。
「そんな事をちっとも気に掛けちゃいません」と私は弁解した。
「君の兄弟は何人でしたかね」と先生が聞いた。
先生はその上に私の家族の人数を聞いたり、親類の有無を尋ねたり、叔父や叔母の様子を問いなどした。そうして最後にこういった。
「みんな善い人ですか」
「別に悪い人間というほどのものもいないようです。大抵田舎者ですから」
「田舎者はなぜ悪くないんですか」
私はこの追窮に苦しんだ。しかし先生は私に返事を考えさせる余裕さえ与えなかった。
「田舎者は都会のものより、かえって悪いくらいなものです。それから、君は今、君の親戚なぞの中に、これといって、悪い人間はいないようだ
といいましたね。しかし悪い人間という一種の人間が世の中にあると君は思っているんですか。そんな鋳型に入れたような悪人は世の中にあるは
ずがありませんよ。平生はみんな善人なんです。少なくともみんな普通の人間なんです。それが、いざという間際に、急に悪人に変るんだから恐
ろしいのです。だから油断ができないんです」
先生のいう事は、ここで切れる様子もなかった。私はまたここで何かいおうとした。すると後ろの方で犬が急に吠え出した。先生も私も驚いて後
ろを振り返った。
縁台の横から後部へ掛けて植え付けてある杉苗の傍に、熊笹が三坪ほど地を隠すように茂って生えていた。犬はその顔と背を熊笹の上に現わして
、盛んに吠え立てた。そこへ十ぐらいの小供が馳けて来て犬を叱り付けた。小供は徽章の着いた黒い帽子を被ったまま先生の前へ廻って礼をした
。
「叔父さん、はいって来る時、家に誰もいなかったかい」と聞いた。
「誰もいなかったよ」
「姉さんやおっかさんが勝手の方にいたのに」
「そうか、いたのかい」
「ああ。叔父さん、今日はって、断ってはいって来ると好かったのに」
先生は苦笑した。懐中から蟇口を出して、五銭の白銅を小供の手に握らせた。
「おっかさんにそういっとくれ。少しここで休まして下さいって」
小供は怜悧そうな眼に笑いを漲らして、首肯いて見せた。
「今斥候長になってるところなんだよ」

Нажмите старт и печатайте строки точно.

Не начат